「リハビリテーション」という言葉に、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
多くの方は、病気やけがをした人が病院のリハビリ室で、
専門スタッフと訓練を行う姿を思い浮かべるかもしれません。
けれども私は、約30年リハビリテーション医として歩む中で、
この言葉が本来持つ意味は、もう少し広く、そして深いものではないかと感じています。
“リハビリテーション”という言葉の語源には、
「再び、その人らしい状態へ戻す」 という意味が含まれています。
私はこの言葉を、「失われた能力を取り戻すこと」だけでなく、
「これからをどのように生きていくかを考えること」でもあると受け取っています。
年齢を重ねると、私たちは少しずつ、さまざまな能力を手放していきます。
・長く歩くことがつらい
・細かい文字が読みづらい
・物忘れが増える
・若い頃のように無理がきかない
私は今年56歳になりますが、すでにすべてが当てはまります。
これらは病気によっても起こりますが、自然な加齢によっても起こる、ごく当たり前の変化です。
けれども、「できていたことが、できなくなる」という体験は、
身体の問題以上に、気持ちに影響を与えることが少なくありません。
私はこれまで多くの方から、
「元のように戻りたい」という強い願いを聞いてきました。
そして同時に、
「これからどのように暮らしていけばよいのか」という戸惑いの声にも、何度も触れてきました。
能力を失ったと感じたとき、
失ったものを取り戻すだけではなく、
今のからだや状況を前提に、暮らしを再び組み立て直すこと。
そしてその中に、その人なりの「心地よさ」や「生きがい」を見つけ直すこと。
これこそが、リハビリテーションの本質ではないかと私は感じています。
それは、特別な訓練だけを意味するものではありません。
・家の中の間取りを少し変える
・休むタイミングを意識する
・人を頼り、自分に寛容になる
そうした日常の小さな工夫のなかにも、大切なものが含まれていると思います。
このブログでも、からだを「治す」「鍛える」という方向だけではなく、
年齢を重ねながら、無理なく、自分らしく暮らしていくための視点を、
少しずつ綴っていきたいと考えています。
日々の暮らしの中で、何か一つでもヒントになれば幸いです。


