処方箋002_リハビリテーションの本質

「リハビリテーション」という言葉に、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

多くの方は、病気やけがをした人が病院のリハビリ室で、
専門スタッフと訓練を行う姿を思い浮かべるかもしれません。
けれども私は、約30年リハビリテーション医として歩む中で、
この言葉が本来持つ意味は、もう少し広く、そして深いものではないかと感じています。

“リハビリテーション”という言葉の語源には、
「再び、その人らしい状態へ戻す」 という意味が含まれています。
私はこの言葉を、「失われた能力を取り戻すこと」だけでなく、
「これからをどのように生きていくかを考えること」でもあると受け取っています。

年齢を重ねると、私たちは少しずつ、さまざまな能力を手放していきます。
・長く歩くことがつらい
・細かい文字が読みづらい
・物忘れが増える
・若い頃のように無理がきかない

私は今年56歳になりますが、すでにすべてが当てはまります。
これらは病気によっても起こりますが、自然な加齢によっても起こる、ごく当たり前の変化です。

けれども、「できていたことが、できなくなる」という体験は、
身体の問題以上に、気持ちに影響を与えることが少なくありません。

私はこれまで多くの方から、
「元のように戻りたい」という強い願いを聞いてきました。
そして同時に、
「これからどのように暮らしていけばよいのか」という戸惑いの声にも、何度も触れてきました。

能力を失ったと感じたとき、
失ったものを取り戻すだけではなく、
今のからだや状況を前提に、暮らしを再び組み立て直すこと。

そしてその中に、その人なりの「心地よさ」や「生きがい」を見つけ直すこと。

これこそが、リハビリテーションの本質ではないかと私は感じています。

それは、特別な訓練だけを意味するものではありません。

・家の中の間取りを少し変える
・休むタイミングを意識する
・人を頼り、自分に寛容になる

そうした日常の小さな工夫のなかにも、大切なものが含まれていると思います。

このブログでも、からだを「治す」「鍛える」という方向だけではなく、
年齢を重ねながら、無理なく、自分らしく暮らしていくための視点を、
少しずつ綴っていきたいと考えています。

日々の暮らしの中で、何か一つでもヒントになれば幸いです。

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